ペットのネコは、人間のお手本を見ても行動を改めない側面があることを、京都大などの研究チームが実験で明らかにした。イヌは行動を変えるという報告があり、チームはペット化の経緯や成育環境が違うことなどが背景にあるとみている。
人間は他人の行動を見ることで、自身で試行錯誤を繰り返すよりも効率的に行動を変えることができる。こうした能力は「社会的学習」と呼ばれる。イヌだけでなく、ウマやヤギでもフェンスの迂回(うかい)方法などの習得でみられるという。だが、ネコでは研究例がなかった。
京大の荒堀みのりさん(現・アニコム先進医療研究所)=比較認知学=らの研究チームは、ネコに研究へ参加してもらうための実験方法を検討した。
「ご褒美」として、特別感のあるおやつ(固形)を透明な引き出しや筒の中に入れ、人間が取り出す手本の動作を見たネコが、同じ動作でおやつの獲得に成功するかどうかを調べることにした。
引き出しの実験では、アクリル製の透明な箱とプラスチックトレーを組み合わせた物を使った。
トレーには木の棒が数本付いており、ネコはトレーに爪研ぎの動作をすることでおやつを引き出すことができる。
ボランティアで参加した猫カフェやペットのネコ45匹のうち、15匹はモチベーションが低かったり、実験装置への関心がなかったりして実験前に脱落。残りの30匹が人間の手本ありと手本なしのグループに分かれ、おやつゲットに挑んだ。
その結果、手本ありで2匹、手本なしも2匹がおやつを取ることができた。人間が触ったところを同じように触ったかといった行動面でも、両グループに差はみられなかった。
筒の実験では、直径11セン…
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル